パブリックスクール
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パブリックスクール

樋口美沙緒

エド、おめでとう。お疲れさま。※追記

ネタバレ
2021年4月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ3冊まで読んだ感想です。※全編読んだので追記します。

いつも緊張してビクビクオドオドしているレイの様子を読み続けるのは根気が要ります。1冊目はほぼ全編そうなので。
レイの育った環境がそうさせているのでしょうが、閉塞感が苦しかったです。

2冊目の中盤からは、パブリックスクール時代から8年後、レイは20代半ば過ぎて日本での展開になります。
レイの社会人とは思えないピュアホワイトっぷり。無自覚カマトトちゃん。絶賛モテ期です。
そのせいで大なり小なりトラブルに巻き込まれてるのですが、再会したエドにその都度救われる。エドの強引さに戸惑いつつ、それもレイへの愛からだと気がつくのは大抵は時間が過ぎてから。

本当はレイを愛したいエドの苦しみに気がつくのは2冊目後半から3冊目です。
3冊目ラスト近くのエドは、まさに8年後の王と小鳥のカバーイラストのイメージそのものでした。


1冊目ではエドは傲岸不遜なヤツですが、読み進めた3冊目くらいになるともう『エド、さぞかし辛かっただろう…お疲れさま』と同情する始末。
エドはこれからもずっとレイのピュアさゆえの正義感ににヤキモキさせられるんだろうな。笑。
多少の暴走は許してあげたくなるレベル。むしろレイの方が腰が引けてます。そのくらいエドの愛が深い。

そして、両思いになりました、めでたしめでたし。…だけじゃなく、価値観の違いや社会的立場の重み、身内への葛藤、幼児期の辛い過去を乗り越えていくのが読みごたえがありました。

ちょっと気になったのは、レイとエドの本当の血縁関係。
これ、あれとは違う設定ではダメなのかな?同性の恋愛はOKでも、どうなんだろう?


追記です。

シリーズ全編読みました。

エドが強い者の孤独な愛だったならば、スタンは自己犠牲の不器用な愛でしょう。
レイがあまねく皆んなに愛を分け与える人なら(勿論エドは特別)、ケイトはスタンを導く愛かな。

結果的にそれが周りにプラスに波及していくのはどちらかのカップルも同じです。

BLだと敬遠せず、人間ドラマとして読んでいただきたい作品です。
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