わがまま男爵の愛寵
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わがまま男爵の愛寵

宇奈月香/緒花

薄幸のヒロイン

ネタバレ
2021年4月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 男爵令息29歳×元侯爵令嬢17歳。横領で告発された父を助けてもらうため一回り年上の婚約者の家を訪ねたヒロイン。しかし彼の家のドアが開くことは決してなかった。二年後、メイドとして働いていた伯爵家で無実の罪を着せられ途方に暮れていると、元婚約者から借金返済の督促状が届き、愛人になることを持ちかけられる。ヒロインが解雇された伯爵家から当主と不倫したと聞かされていたヒーローは、愛人になるなら全裸になれと強要する。初心な反応を無視して体に触れた時、蒼白な顔と怯えた目を見て処女のままだと気付く。裏で密かに二年間ヒロインに乳母を通して金銭援助していても、表で嫌われることしかしてないヒーロー。元々、婚約当初から『侯爵家の後ろ楯がほしい故の婚約』『冴えない容姿』『女性として興味がないので嫡男を早く産んで愛人を囲わせろ』など侮蔑の言葉ばかり言い放つ彼の評価は最低だった。皮肉なことにヒーローが彼女の真価に気付いて初恋に落ちた時、ヒロインは彼に容姿を嘲られて傷つくのが嫌で社交界から遠ざかっていた。マジで過去にやらかしたツケが大きすぎる…。彼の家でメイドとして働き始めた彼女が少しずつ歩み寄って惹かれていく過程もよかった。冤罪の証拠を得るために彼女への想いに蓋をし、犯罪に手を染める侯爵の令嬢との婚約を決めたヒーロー。しかし婚約前の両家顔合わせを終えた夜、彼が強引に関係を結んだことで不幸の連鎖が彼女を襲う。濡れ衣を着せられて恋を失い、お金を盗まれ、収容所にいる父との連絡が途絶え、乳母を亡くした彼女は喪失感が大きすぎて生きる希望を失う。あまりにも不憫で泣けてしまう。凍死寸前の彼女の元に駆けつけ懺悔したヒーローは愛を乞う。熱い夜を過ごした翌日のクリスマス、男爵家に婚約式で集まった人々の前に二人で現れ、ヒーローは廃嫡を宣言する。婚約は侯爵家令嬢と男爵家当主との間で行う取り決めだったため、必然的に婚約者は叔父に代わるーー。ヒーローって策士だわ。婚約も無事に解消できたことで浮かれたヒーローは、その足で教会で結婚しようとする。プロポーズされてないと言われた彼が、屋敷中に響き渡る声で熱烈な愛の告白をしちゃう姿が素敵すぎる。冤罪で服役していた父も保釈金を支払って釈放され、実業家となったヒーローの会社で働いている。プロポーズされた日から始まった二人の甘々な生活はこれからも続く
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