死にぞこないは愛に啼く
」のレビュー

死にぞこないは愛に啼く

磯野フナ

深い傷に染み入る温かさ

ネタバレ
2021年4月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 広告で見かけ、これ絶対好きなやつ!!となり、シーモアさんで見つけたので早速購入しました。
レイのあまりに恵まれない辛すぎる境遇、ボロ雑巾のようになった果てに命を落とすのはとても胸が痛く、読むのが辛かったですが…
ドレイクに拾われ温かさというものを知り、愛されることを少しずつ少しずつ覚えていくさまはまた胸が苦しいほどに感情移入して読みました(ところどころ涙ぐみながら…)
3巻まで一気に読み終えましたが様々な感情が溢れ、終始胸が張り裂けんばかりに痛くて苦しかったです。
レイには次から次へと悪意ある災難が降りかかり酷い扱いを受けるし、転生前の経験によりそういったものに耐性が付いてしまっている様も悲しい。
どこへ行っても世界は自分に優しくないし、自分に危害を加えてくる奴らで溢れている。
辛くて本来なら耐えられないほどなのに、「生きたい」「消えたくない」と強く思い、生命力に溢れ逞しささえ感じさせるレイの内に秘めた強さが眩しいほどでした。
こんな不安ですべてが不慣な環境でよく頑張れるなと。
一巻終盤で体が透けて消えてしまうことを悟ったレイが、「いちどでいいからあいされてみたかったな…」と声を振り絞って呟くシーンがあまりに切なすぎて胸がぎゅううっと締め付けられました。
その後の展開も甘くて優しくてすごく好きです。

レイが栄養失調による発育不良であることをもってしても体格差がとんでもないことになってる。
カップリングとしてはドレイクのような所謂スパダリ系?は「ああ、こういう系ね…」という以上の感想は持てなかったのですが、ドレイクはなかなか好きになれました。
落ち着き払いっぷりと包容力ハンパない!
ただ、レイの可愛さがたまらなく大好きなので読み手としては完全にレイのほうにどっぷり感情移入して見てます。(元来不憫可愛いキャラクターに目がない)
思うように声が出せないのも激しく萌えます…!!
可哀想で可愛らしくていじらしくて本当に好き。
これまでがあまりに辛すぎた分、レイには思いっきり幸せになってもらいたい。


本来心理描写などが丁寧な作品を好んでいるのでサクサクッと進んで少し物足りない気もしなくもないですが、今の気分にはピッタリで気に入りました。
絵もきれいですし、何よりしぐさや表情などの描写が細やかでとても可愛くてすごく好みです。
思いがけず良い作品に出会えました。
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