Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々
」のレビュー

Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々

ヨネダコウ

暗渠の如く存在する謎

ネタバレ
2021年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ フリーで働く保険調査員・夜明至と訳アリ高校生・高比良玄を中心とした連作ミステリー。魅力的な登場人物に軽妙な会話、ジャンルが変わってもやはり上手いですね。1巻につき2件程度の保険の不正調査と結末が描かれています。刊行ペースはゆっくり(2年弱?)ですが、2巻時点で個別の調査自体は、各巻毎に完結しているのでストレスはないと思います。ただ調査とは別に、夜明と玄には“それぞれ過去に纏わる謎”が存在しています。それが物語の底深く流れていて続刊を待つ原動力となり、いずれこの謎がクライマックスになるのだと思われます。あと玄には特殊能力があるのですが、“SF的”な力としてではなく、例えるなら絶対音感のようなものとして扱っているので、純粋に調査事実を積み重ねるミステリーとして楽しめます。2巻時点で完結までの道程に全く予測がつかない本作ですが、続刊への“引き”は強くないので気長に待ちやすい作品です。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!