玩具修理者
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玩具修理者

小林泰三

狂気の世界

ネタバレ
2021年4月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 玩具修理者と酔歩する男の二作品。短編かと思いきやかなりの読み応えがありました。
[玩具修理者]は、壊れたおもちゃやあろうことか生き物までを、不気味な方法で修理してしまう謎の人物、玩具修理者についての思い出を女性が男性に話すのだけれど、実はその2人は……。
あっと驚くオチが待っています。玩具修理者当人はクトゥルフ神話との関わりが示唆されているものの、最後まで正体不明なのも不気味さを引き立てます。
[酔歩する男]は、行きつけの飲み屋に時々どうしてもたどり着けない事がある。という悩みを持った主人公が、ある日見覚えの無い男から声をかけられ曰く、お互いに学生時代の友人であったが、ある事件をきっかけに時間跳躍を試み、制御不能の後遺症に振り回されているのだと。
話を聞いた主人公もまた、薄々自分に起こっているおかしな事実に気付き……そんなSFホラーです。

どちらも方向性は違えど、背景や当事者の狂気で背筋に嫌なものが流れるのを感じる傑作ホラーです。
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