ドキュンサーガ
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ドキュンサーガ

いとまん

規制で端折った所もあるけど最高

ネタバレ
2021年4月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ GWに引きこもれる漫画リストその1。
冒頭はザイターマ王国で酷い話です。流行りのリベンジ風とかじゃなく酷い(笑)。
クサレ外道で鬼○なヤンキー風勇者が王に頼まれて魔王討伐に行く話。
ゲスとかズルいとか、そういうことでは無く、タバコの代金求められたら店ごと焼くクサレ外道です。
そんな勇者が魔物を慈悲無く蹂躙していき魔王と対峙するのが序盤。

原作は、結構過激な表現やパロディがありました。
ただ、単行本化で、エロ、グロの引っかかりそうな場面をカットしたため、序盤は若干話の繋がりがわかりにくい所もあります。
まぁ序盤はそんな雰囲気の漫画です。

ここからその先のネタバレ気味のレビューをします。
クソ勇者の口上もグロ耐性あれば結構ノリが良いとも思えます。
ただ、クソ勇者のバトル漫画なら面白いとまでは思いません。
そこから魔王の過去編になり、こちらが本編と言っていいでしょう。
これが面白い。
シリアスさや複雑さも加わってどんどん面白くなります。
悪って何?善とは?
視点を変えれば、錦の御旗はどっちにある?
そのようなことを考える構成。
蟻の2割が怠け者になる話を思い出します。
8割の共通の価値観の集合体で構成しても結局意見の相違は出てくる。
状況に対して成功率の高い意見というのは区別出来たとしても、個々の倫理観はどちらが正しいとは言えないことが多い。
私の中では、漫画中のひとつの倫理集団に属しているだろう、こちらが合うだろうと思うけれども、何かの拍子で変わるかも。
それにリアルでもそのような色々な意見、思想がある。
そのオマージュといっていい。
それを上手く表現出来ている。

この作者さんは前作もそうだったけど、それぞれの立場による考え方の違いを表現するのが上手い。理想と現実と感情とでもいうんでしょうか。
勧善懲悪の真っ直ぐな話では無い。
しかし私はこの漫画のような歪さを抱え込んでる方が好みです。
絵は上手いとはちょっといえません。
あとグロ耐性は必須ですが、絵が淡白なのでそこまででもない。
序盤でバトル漫画と思いきや意外とじっくり読ませる漫画で、ジャンルヒューマンと言っても良いと思います。
万人受けは難しいですが面白かったし泣けました。クソ勇者からの落差凄すぎ(笑)。
クソなの?ってところも含めて。
原作読んでるけど3巻も買いました。
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