男装令嬢の不本意な結婚
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男装令嬢の不本意な結婚

もり/紫真依

予想外に切なく、涙が出てきました。

2021年5月1日
コミカライズから、続きが気になって仕方なくなり原作も読みました。
期待通りとても面白かったです。
1巻で完結するので読みやすいし、何より文章がすいすい入ってくるのが、普段本を読むのが苦手な身としてはありがたいですね。
読み手が読みやすく感じる文章を書ける作者様って、素晴らしいと思います。

コミカライズから入った身としては、改めてコミカライズの方も凄いなと思いました。
1巻を比較した所、原作シナリオのカットはほぼなしで忠実に再現されてるコミカライズなので、この作品のファンの方はどちらも読むことをオススメしたいです。

シナリオは、男装時代に友人になった男性に、今度は女性姿で会いに行く物語なのですが
双子の妹ということにしていたせいで全然気付かれず、すさまじいすれ違いでした…。
ここまですれ違うシナリオになるとは思っておらず、予想外に切ない物語でした。
もう少し、再会後も互いに惹かれていく萌え展開みたいなものがあるのかと思っていたので、少し残念でした。

中盤ではクラリスの気持ちを全然理解しようともしないパトリスに本当に腹が立ち、報われないクラリスに涙が止まらなかったです。
パトリスが許せない、悔しいって思いが湧き上がってきたりもしましたが
終盤では、もういいよって思えるくらいパトリスが反省していたので良かったです(笑)

なんというか、ファンタジー作品らしいご都合主義展開がほとんどなくて、キャラクターのもどかしいような心理描写に重点が置かれているリアルな作品でした。
その為、感情移入しすぎて本当に悲しかったです。

王子様らしく、主人公のピンチに颯爽と現れるのかと思いきや、クラリスが怪我を負った後に現れるし…。
彼女の心を散々傷付けてきたくせに、こんなことがあって初めて様々なことに気づいて、後から後から後悔ばかりのパトリス。
2人とも元は優しいからこそ、互いに気を使ってすれ違ったり、自分を責めたり。
使用人のことも大切に思いたいからこそ、使用人の発言にも振り回されて、ぶつかってしまったり。
「本当はあなたが好き」と言うこともできず、ただぶつかることしかできない不器用で真っ直ぐな2人が本当にもどかしい作品でした。

その分ラストはハッピーエンドで本当に良かったなぁと心から思えます。
互いに自身の未熟さを自覚して成長して、改めて1からやり直す姿が微笑ましかったです。
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