めでたく候 分冊版
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めでたく候 分冊版

藤村真理/『めでたく候』監修委員会

大奥からの立身出世

ネタバレ
2021年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大変面白い作品に巡り会えました。
江戸幕府3代将軍徳川家光公の側室であり、5代将軍綱吉公の生母であった桂昌院の人生を史実に基づきながらアレンジも加え見事にドラマチックに描かれています。女性で従一位(律令制で女王もしくは臣下の女性に与えられる最高位)にまで上り詰めたほどの立身出世はただ流されるだけではなく、強い意志によって勝ち得たものです。大奥に上がってから役目が変わるごとに、光子から源氏名で浮舟→秋野と変わります。ちょうど春日局に引き立てられてから秋野という名前に変わったところまでを読みましたが、10巻あたりから桂昌院がどのようにして躍動し昇格していったのかが面白く、ドンドン引き込まれていきました。幼き頃、京の山寺で培った薬草の知識という取り柄を活かすことで人の役に立ち見返りを受けることで力をつけていき、魑魅魍魎が跋扈する大奥で引きずり下ろされないために自分で自分の居場所を作り自分の身を守る、最善の策を講じていく様に桂昌院という方の賢さを知りました。人徳に恵まれた方だったのでしょう。
5巻と7巻の終わりにおまけのコーナーがあり、それを読ませて頂くと作者様がこの時代をよく調べて描写されていることやご自身の解釈も持たれていることがわかり、本作品に対して更に興味が湧きました。当時の京や江戸の街並みに加え登場人物の画力の高さも秀逸です。タイトルの『めでたく候』…本作品の冒頭で桂昌院が今際の際にポツリとつぶやいたこの一言の真意も知りたく、今後の配信も心待ちにしております。
【15巻読後更新】秋野→玉へ改名。表紙も上様とのツーショットに変わり素敵。おまけのコーナーで紹介されていた大聖護国寺YouTubeチャンネルを番外編含めて視聴しました!玉の輿の語源はお玉さんだった説に至極納得。お坊様方の監修の裏話や大聖護国寺(亮賢僧正が住職を務めていたのですね)と桂昌院との所縁もわかり、本作品をより楽しく味わうための助けとなりました☆
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