オールドファッションカップケーキ
」のレビュー

オールドファッションカップケーキ

佐岸 左岸

味わい深いお話です。

ネタバレ
2021年5月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 野末さんに共感しました。あぁ、わかるな…って。40歳は人生の折り返し地点。人生は受け身に、守りに入ってもおかしくない年齢。でも、それで良いのかと言う矛盾も感じる…。野末さんにとって、外川くんはさぞ眩しかったことでしょう。そして、外川くんは、若かった。勢いと強さを持ってる。
1巻は2人が両想いになるまで。2巻は2人が将来のお話をするまで。野末さん目線で描かれています。エピソード0は外川くん目線です。
私は1巻の方が好みでした。「死ぬ気で口説いてました」の言葉の通り、外川くんが必死。その一生懸命さが、可愛いと思いました。特に合コンの時の外川くん。隣に座る野末さんが良い感じに女性と仲良くなるのを、あからさまに邪魔もできず…。ホントに飲んでるしかなかったんでしょうね。外川くんの心境を思うと、切ないと同時に必死すぎて可愛らしくてしょうがなかったです。
が、2巻は…。恋人と言う表記のされ方はなかったですが、両想いになってからの外川くんは、若いな…と。付き合って別れての経験が浅いのかな、自分本意な気がしないでもない…。
野末さんが上手く自分の思いを伝えてないのもあるとは思いますが、「まず、パートナーのお話を聞こうか…勝手に帰る前に」と思いながら読んでました。そして、電話やメールの無視はNGでしょう…。
黙って県外に遊びに行ってるとか…一言あっても良い気がしましたが…。
抱いて喧嘩をうやむやにしたくない。それも分かりますが、肌の触れあいは言葉以上に想いを伝えてくれることもあり…。
野末さんの手をはたいてからの外川くんは、意地の張り過ぎ。冷却期間を置くつもりではなかった野末さんの気持ちを思うと、どうにもしんどかったです。それだけに同期と3人で飲むシーンは胸に深く残りました。桐島さんも柿田さんも良い方ですね。
結果、収まるところに収まって良かったです。でも、この先たくさん喧嘩したり、すれ違いはありそうな感じがするリアルな終わり方でした。
3回も連絡し忘れる外川くん。野末さんでなければ、ですよ。ともあれ、長い時間をかけて擦り合わせやスルーする方法を覚えて、それでしっくり行くようになるのかな…なんて想像できる素敵で前向きなラストでした。
漫画や小説って、年齢や立場など読み手によって受け取り方や感じ方は変わると思いますが、このお話はその傾向が強いような気がします (^^)
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