茜新地花屋散華
」のレビュー

茜新地花屋散華

ルネッサンス吉田

魂が剥き出しに晒されてる感覚

ネタバレ
2021年5月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初はとっつきにくいし関係性が分からないし圧倒される活字に眠気が襲ってくるし、どうしたものかと途方に暮れました。けど、読めば読むほど星をつけるのもおこがましい感じがして、気付けばどっぷり溺れてました。。
読みながら心身を蝕んでくるんだけど、何故か目を逸らすことができなくて抜け出せない。例えて言うなら、夢野久作や寺山修司とかの世界観に近いかな。言葉にすると陳腐ですが、狂気、陰鬱、虚無が底辺に流れてる感じ。
人間が持っている隠された業を剥き出しに晒してきて、目を覆いたくなる場面もあるんだけど見なきゃいけない気もする。ここまで見せていいの?と驚愕するくらい直球で、飾ったところが全くありませんでした。
十三の闇、深沢の一途を通り越した狂気に近い愛、埴谷は複雑なんだけど一番まともに描かれてます。今作では深沢と埴谷には救いがあり、十三は別作「淋座敷空慰」に後日譚が。
男性同士の性描写はあれど一般的なBLとはかけ離れているので男性にも薦めたい。好みは別れると思いますが、私は文学作品を読み終えたくらいの充実感がありました。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!