呉服屋の若旦那と政略結婚いたします
」のレビュー

呉服屋の若旦那と政略結婚いたします

春田モカ

揺さぶられた!!

ネタバレ
2021年5月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ ほのぼのした表紙絵とよくあるタイトル、クスリと笑える導入部分から、完全に油断していました。本当に読んで良かった!!心が揺さぶられ、自分の心の引き出しが増えていくような気がしました。人の心の機微と、温かさ、糸が布になる意味を感じました。読みながら泣くなんて久しぶりです。就職活動に失敗した衣都(いと)は実家に呼び戻され、8つ上の幼馴染 志貴(しき)との政略結婚を命じられます。早速同居が始まり、志貴の実家の呉服屋で嫁入りのための勉強が始まります。小さい頃からずっと一緒にいた志貴ですが、8つ違いと言うこともあり、色々な思い出の中には衣都が知らないこと、分からなかったことも沢山あって、衣都目線で語られる内容がストーリーが進むにつれ、少しずつ繋がっていきます。そして大人の余裕を見せる志貴が隠している重く深い愛情が垣間見えるたびに、どんどん惹き寄せられました。ほんのひと言なのに、その気持ちを的確に伝える作者さんの言葉の選び方がすごいです(自分の語彙力の無さが嫌になりますが)。そこで分かったつもりだった言葉が、あの言葉はこういう意味だったのか、というのもあって奥が深い。沢山の登場人物のそれぞれの気持ちがしっかり描かれていて、糸が繋がって布になった時にタイトルの意味がよくわかります。ありがちなタイトルなんかじゃ無かった!参りました!!
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