ごめんしたって許さない
」のレビュー

ごめんしたって許さない

博士

タイトルはどんな意味なんでしょうね

ネタバレ
2021年5月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1冊+短編。
短編は温泉旅行ではないので浴衣姿はありませんよー。
モブおじさん御奉仕描写、売り専連れ込みお道具暴力あり。

この作品の凄さは、ただの胸糞ではなく。
人間の愚かさと愛おしさの構造が「若者の世界の矛盾」によって綺麗に彫り出されていること。
田舎から出てきたピュアピュア妖精健太郎はあれよあれよという間に毟り取られてしまいます。
そこに救世主のふりをして現われたのは同じ糞サークル仲間?の優くん。彼も都会的な汚れに染まりながら自らの内側の沼の如き欲望を持ちつつ、どうにもならない衝動で大ピンチの健太郎を救います。

お金稼ぎのために成り行きで知った「売り」、健太郎の無自覚な都会生活への憧れ(見た目の大変化に読者が震え上がる)は大きな代償になり、それすら肯定する健太郎の素直さが読み手の正義感を揺らします。
ここからもっと墜ちるのって読みたくないですか…
そんな悪魔の囁きが聞こえそうです。

優くんもそんな汚れた世界観に浸っています。
彼も若者文化を支え、消費し、傷ついています。
そこに現われたピュア妖精健太郎に傾きかけたやさきに健太郎が更に深い沼に居ることを知って矢も盾もたまらず走り出します…その先に見えるものは地獄。

タイトルの「ごめんしたって〜」はどんな意味なんでしょうね。

割れ鍋に綴じ蓋CP、それぞれ沼から上がってどんな人生が待っているのやら。
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