このレビューはネタバレを含みます▼
奇書として名高い原作小説を読む前にまずは取っ付きやすそうなこのコミカライズ版を読むことにしました。
この作品で描かれる未来世界は、かなり歪な社会構造が根を下ろしています。そこでは白人以外は人間とみなされていません。黒人は奴隷、日本人は家畜(ヤプー)、道具や家具やペットとして存在します。
作品の中ではこのような社会構造が未来世界において合理的で当たり前のものとして描かれています。やはり現代人からすると差別的に感じるのも無理はないです。人種差別だけでなく人体改造やスカ◯ロの描写もあります。ヤプーは便器やらに改造されているのですが使用者の使い勝手のために改造されたその姿はグロテスクです。本当に人を選ぶ作品だと思います。
私個人は江川先生の絵柄が好みだったので、そこまでの嫌悪感は抱きませんでした。ヤプーもなんとなく可愛らしく見えましたし...。読み進めるうちにその未来世界に魅力を感じ始める自分がいました。
また、全巻を通して説明的な描写が多く、ストーリーの進行は遅いです。最後あたりは絵柄がテキトーになり、「これからなのに!?」って所でブツ切りです。原作小説もそんな感じだと聞いているので仕方ないのでしょうが...。
とはいえ倒錯的でどこか甘美な世界に浸れて楽しかったです。原作もぜひ読んでみようと思いました😊