相生結び
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相生結び

ひと癖ある描き方

2021年5月23日
作者様初コミックスです。
『ハレとモノノケ』『くじらの御仕立てさん』は心や頭の中にスッと入り込んで、感情移入しやすい作品でしたが、こちらは少し難解です。難解というか、10ある事柄を10全部出しきるのでなく、登場人物の語りや感情表現を敢えて抑えている印象です。何かあると匂わせて、はっきりとした答えをぼやかす…という感じで、読者の読み取りに任せる手法なんでしょうか。少しモヤモヤします。
小料理屋の若き主人まこさんに、子供の頃から慕うガテン系光太。
キラキラと真っ直ぐに、まこさんに注がれる光太の眼差し。一途に思う気持ちがよく伝わります。
まこさんの感情表現が乏しいのと、場面転換がぶつ切りになったり、中途半端な回想シーンで、ん?ってなるんです。光太を大切に思っているのでしょうけど、恋愛感情として読み取りづらいのがたまにキズ。当て馬のように見せかけて当て馬でない有匡は、一体なんだったのか…よくわからないのは、エピソードのぶつ切りのせいなんだと思います。
個人背景と心理描写がもう少し丁寧だと、感情移入しやすい気がして、もったいない。
仮に読者に考える余地を持たすにしても、わかりづらい、というのが正直なところです。
まぁ、ハピエンでなによりです。
続編で何かわかるといいなぁ、と期待しておきます。

この作品を読もうと思われた方には、ぜひ続編と合わせて読んで下さい。見えなかった部分が見えてきます。
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