このレビューはネタバレを含みます▼
16年前の古い作品です。レビューの数が少ないのが残念なくらい素晴らしい作品でした。
確かに、絵が古びて野暮ったい印象です。所々、手抜きのような雑さもあります。シリアスな場面の余韻をかき消す、コミカルな転換に(ん?)と思います。
それでも!
良かったです!ホントに主人公たちの心情が、ひしひしと伝わる秀逸作品だと思うのです。ぐいっと引き寄せられて、気持ちが入り込んでしまいます。
外科医中道の病院長との不倫。脳梗塞で倒れ、余命幾ばくもない病院長。
夜中、こっそりと見舞い、愛する人へ静かに語りかける中道の姿が痛々しい。
最期の臨終の場、側で見送る事も出来ず、心の中で泣いてるように、空(くう)を見つめる中道。胸が痛い…
もぉ、西田先生の描き方がたまらんです。涙。
病院長が亡くなる前に現れた息子。父親の不倫相手と知っていて、刺すような嫌悪の目を向ける堤。父親の不貞、母親も自由。やるせない息子は、行き場のない怒りや悲しみをどこに向ければいいのだろう……
だけど、憎むべき不倫相手の中道の寂しさや孤独を感じとり、心配さえする堤。彼の感情の変化が丁寧に描かれて、惹かれていく想いにもなんだかジーンとさせられます。
中道を気遣う堤に、つい心の弱さを見せたあの涙。ずっと泣けなかったかのように…そして、堤の優しさに包まれて。
完全に感情移入してしまいますよ、これは…
辛くて、切なくて、哀しい…でも温かさに救われる。涙。涙。
もう、独りじゃない。
二人で過疎地の医療を助け、二人で共に生きて行こう…
はぁ、良かったぁ。めっちゃ良かったぁ。たまらん。読んで欲しいーーーっ。
フォロー様がレビューされた『社長桃井くん』面白そうですね。気になりますぅ。好き嫌いが別れるとの事で、選択しやすいご意見ありがとうございます。フリマでお安くあればいいなぁ。