陽だまりとべんとう男子と
」のレビュー

陽だまりとべんとう男子と

南月ゆう

天然記念物のような純朴

ネタバレ
2021年6月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作家さん買いです。少女の頃に見初め成長を見守る青年の話は少女漫画やTLで違和感ないが、そのBL版とも言え、BL好きならショタコンなんて言葉で片付けるのは早計です。もっと言えば母の面影を求めた光源氏が若紫の成長を見守る感じの現代BL版かw大学入学と同時にただ一人の家族である母が嫁に行き、帰る場所を失った孤独と寂寞で心にぽっかり穴が空いてしまった三春。多分18歳という年齢、周囲に流され弾けた学生生活が送れない素朴な性格も空虚感の一因かも。そんな彼の前に下宿先の6歳の平太が元気付けようと一生懸命握った不格好なおにぎりを差し出す。その打算も欲もない無垢な想いは一瞬で三春の心を満たし、彼を絶対手に入れなきゃと思い込む。で、平太の両親に下さいとか頭下げちゃうwこの浮世離れも甚だしい純粋純朴な青年を取り巻く平太の家族や友人達も実に優しく温かい。平太の父は三春の想いを真面目に受け止めて諦めがつくような条件を出すが、三春は誠実に頑なに約束を守って平太の成長を見守り待つ。他の作品同様、読後感は優しく温かい。「息子さんを下さい」「息子をよろしく」が普通の会話になる日が来たら良いね。
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