彼の教科書
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彼の教科書

鰺坂こうや

大人びた生徒と臆病な教師の恋

ネタバレ
2021年6月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 愛情深い眼差しを感じる表紙にまず惹かれた。柔らかい雰囲気の絵も素敵。ゲイを自認し自分の好みで選ぶものだけが全てと、達観したように大人のフリしてハッテン場に繰り出す高校生佐久に声を掛けてきたのは教師の皆川。彼もまた誰からも選ばれず自信も失って人生諦め気味に達観しながらハッテン場に通うゲイ。佐久は皆川に気付くが好奇心が勝り、皆川は自分の生徒と気付かないままカラダから恋が始まる。涼しげに飄々と教壇に立つ皆川の、佐久に見せる夜の顔とのギャップがたまらない。で、皆川も佐久に気付いて関係終わり、そこから佐久は真っ直ぐな愛をぶつけ、教師生徒の葛藤渦巻く純愛が始まる。「あれはオレじゃないけど未来のオレ」佐久の必死な言葉にドキッとするw臆病な皆川に青臭く告白する佐久が逆に大人に見える。普通ガマンは卒業までだけどなあとイラつくけど心地良いのは皆川の自信のなさや臆病が誰の心にもあるからだろうか、優しく柔らかい雰囲気が許してしまうのか。佐久は皆川に合わせてよく待ったよ。皆川より全然大人だ。読後感爽やかです。途中に短編挟むナゾ。「放課後」をもっと長く見せてと呟くよw
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