君に届け
」のレビュー

君に届け

椎名軽穂

青春ラブコメの金字塔

ネタバレ
2021年6月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 【読了】何度読み返したかわからないほど、青春時代の「聖書」と化している。これを超える作品には、たぶんもうこの先出会えない。
ストーリー・世界観・設定がきちんと確立されている一方で、「あぁ、そうだな」とズシンと心に突き刺さる確かな「生きた」言葉や状況が、全ての話に散りばめられている。
9巻における「episode 34. すきなひと」「episode 35. 好意と迷惑」からの「episode 38. 届け」への流れは、他の学園ラブコメの追随を許さないほど圧巻。10巻前半で両思いになるまでの完成度は相当に高いが、『君に届け』が青春ラブコメの金字塔なるゆえんは、主人公2人の想いが届いてからが本当に「スタート」なんだと思わせる展開にあると思う。主人公2人はもちろん、その周りの人々の成長がすごい。自分の奥底の気持ちと向き合う→気づく(認める)→届けるという作業を、気が遠くなるほど丁寧に繰り返している。
私のおすすめとしては、キャラクターの誰か一人になりきって1巻から読み続けると、それぞれの表情や状況が真に納得できる。椎名軽穂先生の細かなイラスト、表情、台詞が「カチ」っと繋がり、才能がにじみ出ている。読んで絶対後悔しない作品。
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