憧れた人は42歳の娼夫でした【コミックシーモア限定特典付き】
松基羊
このレビューはネタバレを含みます▼
試し読みから即購入、久々に心が高揚するのを感じる作品に出会えました。もう何回読み返したかわかりません。傷を負った大人が幸せになる話はやっぱりいいです。学生の両片想い話では得られない、しっとりとした幸福感に包まれるような。源氏名が「ダンディ」なだけあって、娼夫になってからはもちろん、記者時代も言葉遣いが美しくて丁寧で、柔らかい物腰と穏やかな笑顔から、本来の奥田さんの誠実さを感じられます。そして、そんな人を巣食う横井編集長みたいなハイエナは必ずいるもので。「誰かに知られたら終わり」と告げておきながら、教育係として奥田さんを慕っていた伊部くんに、わざと見られるように仕組んだとしか思えない。絵もデッサンがしっかりしていて綺麗で、2人がちゃんと男らしいのも大切。目が大きな女顔では、この話は成り立たない。キッチリと隙なく高級スーツで現れる奥田さんと、恐らく10歳若い現場記者の伊部くんの服装も、互いのスタンスの取り方の対比を表しているよう。お守りのペンが重要な役割をしてて、奥田さんが渡すシーンも、10年経ってもまだ伊部くんが使ってると気付くシーンも欠かせません。初々しかった伊部くんが、奥田さんの危機を救える程スパダリに大変身してて、再会した時に恥ずかしくないように頑張りながら奥田さんを探し続けた10年が伝わってくるようでした。まさか、最初に奥田さんが御膳立てしてあげた桐ヶ谷組CPが登場してくるとは!何より、奥田さんの攻めと受け、ツンとデレの対比に心鷲掴みにされます。完結ですが、番外編ででも、穏やかに笑い合う2人がまた見たいです。
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