このレビューはネタバレを含みます▼
完結しているWeb版とも合わせての評価です。
海に身投げした王女が、遠方にある他国の王に拾われて、身分を隠しながら彼と恋をする…というストーリーなのですが、まあそういう話なので最終的には当然、ヒーローと結ばれます。が、じゃあ何故、身投げしたはずのヒロインが遠く離れた国に生きてたどり着けたのかとか、謎を抱えるヒロインに対してヒーローは清廉潔白なのか?いや(物語のセオリー的に)そんなわけないだろう、ってことで、結ばれた後にも一悶着起きて大変なことになるタイプのお話で、結ばれてゴールじゃありませんでした。その、結ばれた後の一悶着が、ま〜〜ほんっとうにヒロインが可哀想で可哀想で、女主人公ものではヒーローに肩入れすることの多い私でも、ヒーロー及びヒーローの周囲のキャラに怒りが止まらなかったほど、ヒロインがとにかく可哀想でした。まあ最終的に、超円満ハピエンに辿り着くのでいいんですが…そんな感じでストーリーは、上げて落として上げて落としてを繰り返して、ちょっとした世界の謎を絡めながらハピエンを目指すお話です。
話は普通に面白かったんですが、ただ、ヒロインとヒーローが一悶着起こした時に、それまでヒロインの一番の理解者くらいのポジションにいたのにあっさりヒロインを切り捨てた某キャラと、ヒロインにとんでもなく酷いことをしたヒーローが、最後、悔い改めるシーンが深堀りされることなく終わったのが…ちょっと消化不良で。もしかするとこの辺りは書籍化された時に改変あるかもしれませんが、それが引っかかって読後感に翳りがあったので、その分マイナス。
しかし、ヒーローがちゃんと王として皆に慕われて、きちんと権力を持っていること、また、ヒーローの部下たちがヒロインを好意的に見ていても、主であるヒーローを何よりも一番に考えて、ヒーロー第一主義を貫いていること、この点はとてもよかったです。
(追記)web版ではヒロインを切り捨てて、追い打ちで酷いことを言いながら事件が解決するまでヒロインを拒絶しその後もヒロインに謝罪する描写がなかった某キャラ、書籍版では切り捨てずに歩み寄ろうとする姿勢を見せ、傷ついたヒロインの心に寄り添いきれなかったことを謝罪して味方側に回る方向に改変されていました。おかげで読後のモヤモヤはだいぶ減りました。ヒーローは相変らずでしたが、web版より読みやすくなってると思います。