このレビューはネタバレを含みます▼
4人の登場人物が短いスパンで代わる代わる登場するとか、終盤まで結末が、誰と誰が結ばれるかがわからないとか、いろいろな面で挑戦的な作品だったと思います。後書きからも凪良先生のこの作品への思い入れが伝わってきました。
家族愛、友情、恋心とたくさんの想いがあって、それぞれが絡まり合いながら進んでいくので、一対一の恋愛だけでは得られない読み応えがありました。この交差する想いがどう結ばれていくのかが気になって、夢中になって読みました。
結局最後は高砂が一番美味しいところを頂いちゃって何かずるいなぁと思いましたが、まぁ宮くんが幸せになれたからいいか。鼎は今までそれなりに好きに生きてきたんだしと思いつつ、切なさは残りました。自分もいい大人だし親だから気持ちはわかるけど胸が痛かった。それぞれの相手を想う気持ちが温かいけど、ちょっとほろ苦さも感じる読後感でした。振り返ればこの一冊で様々な想いに触れられて、いろんなことを感じさせられた、ものすごく贅沢な小説だったなぁと思います。