彼が眼鏡を外すとき
」のレビュー

彼が眼鏡を外すとき

麻生ミツ晃

麻生先生のファンになりました。

ネタバレ
2021年8月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家様です。レビューでよく見かける『リバース』が気になって読みたいと思っていたのですが、繁忙期なフォロー様のレビューに惹かれて、先にこちらを購入しました。(フォロー様、お元気そうで何よりです。)もぉ、何て言葉に表せばいいのかわからない、胸のざわつきや締め付けられるような切なさ。そして後からやって来る高揚。
表題作品と同時収録の作品(今回は逆)が、繋がる人間関係の話はよくある事なんですけど、この絶妙なリンクにガツンとやられました。

前半:転校生の土屋がやって来て、何かと面倒見の良い一太。少しヒネた感じの土屋ですが、本当は寂しくて一太が構ってくるのは嬉しいんだけど、素直になれないお年頃。一太が友達に言われた『フラット』の意味。感情の起伏が平坦と表すのかと思ったんですけど、少し違ったようで…あれ?合ってる?
土屋を放っておけないのも、構いたくなるのも、そこで気付いちゃうワケですかぁ。恋に落ちる瞬間ってゾワゾワします。土屋もなんだか可愛いです。いいな、思春期の恋って。

表題作:前半の一太の弟・賢次と一太の親友・巴の切ないけど、じわじわ感動しちゃう恋模様。
恋心の矢印が全部一方通行で、それぞれの想いが切なくて、胸がぎゅってなるんです。
巴が気付いてしまった親友の恋。気づかない巴自身の気持ちに、先に気づいた賢次の想い。
もうねぇ、切ないねぇ。端で見てる好きな人の恋って…
賢次が、痛いくらいに一途にそして健気に想うのがたまらない。精一杯、巴の側に居たい気持ちがひしひしと伝わるんです。15歳。その小さな胸に抱えた大きな覚悟。そんな賢次が可愛くないはずがないですよね。
最後にわかったタイトルの意味が、これまた胸に刺さります。どこまでも、健気な賢次に涙です。
巴もまた、心に決めた事が晴れやかで清々しくて、素敵でした。
ほんとに心理描写が繊細で、話の構成がお見事でした。良い作品に出会えました事、フォロー様のレビューにも感謝です。いつもありがとうございます。
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