このレビューはネタバレを含みます▼
●高1のときに何も告げずに目の前から消え、14年経って突然部屋に転がり込んできたアガタ。相変わらず言動はキツイし、急に手を出してくるし、啓人にはアガタのことが全然分からない。読んでいる側も、おいおいアガタ、お前何なんだよ…と思いながら読み進めるのですが、徐々に見えてくるアガタの啓人への感情と、最後のタネ明かし(?)でヒエッとなります。愛が重い…。これを“尊い”と見るか“怖い”と見るかで評価は分かれそうです。(私は好きです!)
●自分の嫌な感情も仕事も性癖も、全部嘘で塗り固めてきた啓人。躊躇なく自分の中に入り込んでこようとするアガタを素直に受け入れられないのは、またあのときみたいに置いていかれるかも…と恐れているから。過去が両者の視点から少しずつ描かれるので、ヒリヒリとした二人の関係が、ああそうだったのね…と読者には見えてくる。だからなおさら焦ったい。啓人がこんなに拗らせてなければね。アガタももう少し上手く伝えられていたらね。二人とも不器用。
●児童養護施設で同室だった4人(アガタ→啓人←孝二←イク)。メインはアガタと啓人ですが、孝二とイクについても適度に描かれているので、皆幸せになってね…と思えます。(描き下ろし漫画は孝二とイクのお話。)原作のついたBLコミックは初めて読みましたが、設定がしっかりしてるなと思いました。最後の書き下ろしSSも良かったです(えっち!)。全部込みで約200P。