オメガ・リバース~番えない君は夜に溺れる~
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オメガ・リバース~番えない君は夜に溺れる~

すぎちよ

二人の青年の究極の愛と再生の物語

ネタバレ
2021年9月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品の魅力は誰も描いた事のない世界観と設定を持ち合わせているところだ。Δ(デルタ)という存在を作り出すことでキャラクターに奥行きが生まれ、ストーリーの幅が広がった。
Δの壮一郎とαの新を主軸に物語は進む。壮一郎は一見するとクールであまり感情を見せない青年だが、実は情に篤く、優しく愛情深い性格であるが故に、自分の身体の変化を隠し、ある誓いを胸に抱きながらもΩと体を重ねていく。言動と感情が一致しないアンバランスさを持つ壮一郎はとても魅力的に描かれている。
一方、新は長年想い続けた壮一郎との再会によって運命を大きく変えていく。新は壮一郎を愛し、守りたいと思いながらも自分の力不足に苦悩し、背負った家名との板挟みに苦しみながらも壮一郎と共にあろうとする姿が印象的だ。
真逆の二人が何かが足りない、満たされない想いを抱いているという共通点を持たせ、寄り添えないはずの二人が共感し合い、心を寄り添わせていく場面はさすがだ。作者の構成力に脱帽である。果たして二人が選ぶ結末は…。これは究極の純愛物語だ。是非、一読をおすすめする。
ところで、『オメガ・リバース』というタイトルには二重の仕掛けがしてある。どのような意味が込められているのかは、是非、本編を読んで確かめていただきたい。
単話版と単行本版で迷っているのであれば、ぜひ単行本版の購入をおすすめする。書き下ろしの豊富さは言わずもがな、作者の遊び心満載の電子版書き下ろし特典がたくさんついてくるので、是非!
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