このレビューはネタバレを含みます▼
ゾンビものといえば、迫りくるゾンビの集団に追い詰められる系を、たいていの人は想像するのではないかと思いますが、この作品は当のゾンビが本格的に日常を営み始めるゾンビものです。なにそれ見たことも聞いたこともないっ! 発想が斜め上で驚きます。
最初はたいへんそうですが、なんだかんだ楽しそうに、早めのリタイア生活を送るゾンビでしたー。
というのが、上巻までの感想で……。
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下巻ぶんの感想ーー!! 単話売りだった頃に書き込んだので、単行本が出て単話が取り下げられると共に消えました。また一から書き直しかぁ……とほほ🤪
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もう凄いとしか言い様のない物語・漫画でした。感情をめちゃめちゃ揺さぶられ、かき回されました。
実は高校時代からずっと佐田に惹かれていた間宮。過去の間宮のことはさっぱり覚えていないものの、間宮にめちゃめちゃ好かれていることに徐々に気付いていく佐田。
それぞれに痛みや淋しさや哀しさを抱えている二人が共に暮らし、罪を重ね、惹かれ合っていきます。
ワガママで人の気持ちがわからないなりに一生懸命佐田を守り愛していこうとする間宮。顰めっ面とよそ行きの仮面を脱ぎ捨てて少年のように無邪気に笑い、間宮の愛に応える佐田。お互いに相手を気遣いあい、二人だけの愛を模索し形作ろうとしてゆくさまがいじらしくて良かったです。
でも、彼らが着実に重ねていく悪事は、どんな理由があろうとも許されるようなものではありません。それを、物語の内部で決着してクサくて教訓的な物語にするのではなく、物語の外部から、見えざる創造主(作者)からの鉄鎚を喰らわすかのような、偶発的にして徹底的絶望的な破滅エンドとして仕上げるのが、すごいなと思いました。拾う骨もないとはまさにこの事かと。
辛く厳しいラストでしたが、そうであったからこそ好きな作品です。きっと一生忘れられない漫画になるだろうなぁ。