彼が眼鏡を外すとき
」のレビュー

彼が眼鏡を外すとき

麻生ミツ晃

眼鏡とともに隠された想い

ネタバレ
2021年9月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一太と転校生の土屋と、一太の親友、巴と一太の弟、賢次 のお話。
2CPのお話ではありますが、兄である一太のお話( もともと5年前に1話の読み切りで描いたものらしいです)ありきで構成されているストーリー。
土屋の不器用で口が悪く、見えにくい優しさや真面目さ、照れ屋な部分に触れていく一太の真っ直ぐな所も良かったけど、やはり表題作となる、弟の賢次のお話が印象的。
15歳だからこそというべきか、真っ直ぐ過ぎる淡い告白から、兄の代わりに側に居続けたいと想う2年に渡る日々。
自分からは好きだと言っても、決して自分を「 好き? 」と聞くことはしない。賢次として巴に見てもらえるとは考える事も出来ないくらい、不安な気持ちを隠して眼鏡を外した姿で振る舞っていたのかと思うと、やっぱり切ない。
眼鏡の内側に溢れた涙が、兄の代わりであろうとする自分と決別し、また真っ直ぐ大好きな彼を見つめる事ができる喜びが溢れてきているようで、静かな流れに引き込まれました。
あとがきにて、せっかく学生BLを描くんだから「 ド直球 」を投げようがテーマと書かれていて、まさしく「 揺れ動く思春期の痛いくらいに一途な恋 」 に感無量です。
短いながらも、それぞれの心情が伝わり、切なく優しい気持ちになりました。
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