さよなら共犯者【単行本版】
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さよなら共犯者【単行本版】

あがた愛

歳の差逃避行BL

2021年9月22日
単行本化、ずっと待っていました。大手自動車企業の社長の息子で、有名進学校主席、引かれたレールをただ諦めて歩いている、巷の高校生らしい経験をしたことのないJK受けと、受けの逃げた猫を取り壊し予定のアパートの1室で手当保護していた、”悪い人ではなさそう”な攻めとのお話。攻めは何かから逃げているようで、いつ受けの目の前からいなくなるか分からない不安から、受けは家出をして攻めに着いていくことを決意。素性も本名さえ知らない二人の逃避行が始まります。2巻を通して、丁寧な心理描写は、あがた先生らしさがよく出ています。受けは早い段階で気持ちを自覚していますが、大人である攻めはそう簡単に認めることができず、それでも惹かれあい、現実と逃避の間で、じりじりと進みます。帯にフラグ立ってるし、読めば読むほど、メリバが想像されますが、ちゃんとハピエンですので、その終末に向かってドキドキハラハラしながら、読んでください笑。メリバのほうが現実的だと思われる方もいるのかな、と思いますが、私は、このエンドでほっとしたし、ラスト少し足早感はありますが、大学で経済学とか学んでいる少し大人になった受けと、その受けを溺愛している攻めを見たいです。この出会いによって、現実で逃避していたことにそれぞれが向き合い、踏み出し、だからこそ、またここから新しく始まることを含めたタイトルだと思います。部位白塗り、1巻本編239p、2巻本編171P、番外編、描き下ろし全248p。
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