猫、22歳
」のレビュー

猫、22歳

柳沢ゆきお

知る唯一の肉を僕の皿の上の明くる日に

ネタバレ
2021年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォロワーさまのすごく良かった、ホント良かったのお言葉で購入、読破。結果…凄いモノを読んでしまった。

まず「猫、〜。」2編。これが究極の愛だというなら、きっと私は死ぬまで愛を知らないだろう。
猫は捨て身で愛を得、溶け合い、内包し、昇華する。感謝と共に。
対して彼氏の、置いて逝く恐怖さえ打ち負かした信じる力も凄い。ポルノは愛なのだ。

※※※この後ネタバレ的解釈をするのでマジで作品を楽しみたい方は絶対に読まないで欲しい※※※

次に「皿の上の明くる日。」。これは太宰だ。初期の若かりし太宰治だと思った。
死を考え、考え過ぎ、神に与えられる死を座して待つ間に、己的に整合性を求めたら■■■■になっちゃった男。
皿の上に居続けた或る日、己の生を代替えしてくれる人に逢えた。だから男は彼を殺さなかったし、男は納得してナイフとフォークを待つことができるようになった。神が厭きるその日を自分の意思で日を変えた。神めザマーミロ!とでも言わせりゃ良かったのに。
太宰からも少しばかりBL的要素が匂ったので(もしかして私が腐女子だから?)もう少しフィジカルに舵を切ったら今作のように表現したのではないか?
柳沢先生の作品は実に文学的だなぁ。

他に2篇同時収録。2つとも面白いのだが、「皿の上の〜」を読んでしまっては………。
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