このレビューはネタバレを含みます▼
野原滋先生の作品は結構読んでいるんですが、シリアス切ない現代ものでハマったせいか、先生のファンタジーはなぜかいま一歩ハマれないまま終わってしまうんですよね…。
今作はあらすじにある通り、前世の記憶、動物になっちゃう呪い、犯人探し、料理開発、意思疎通できないもどかしい逢瀬とかなり内容盛りだくさんなのですが、その割りにどの要素も深掘りされることなくトントン拍子にストーリーが進んでしまうので、全体的な印象としては引っ掛かりがあまりなくあっさりに感じてしまいました。
テンポ良く、2人のキャラも境遇を嘆くタイプでもなく前向きでいいのですが、もう少し恋心が育つ過程とかその時々の感情など心情面に力を入れて欲しかったかな。
上流階級が意識を変える新しい国を作ろうとする結末は良かったですが、もうちょっと感情移入できるところがあるともっと楽しめたかなと思います。