いけない子
」のレビュー

いけない子

吉田ゆうこ

浅いキャラ同士の話を生かすマジック構成

ネタバレ
2021年10月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ タイプは違えど人任せに生きてきた依存性の2人の話。
メインが人として弱いからか、会話が上滑りして一向に響かない。
2人の間の確たる存在だった人物の喪失で、この弱い者同士で傷を舐め合うようにくっつくんだろうなーと思いながら読んだ。
既にいないキャラを断トツ強く描くって(しかも回想は一切無し、会話でしか出ない)すごい賭けじゃないか?
このままズルズル話が閉じてしまいそうな終盤、初めて心に響いたセリフがやっぱりいない人のものだった。
それが、ここまでのズル滑りを帳消しにしてしまう程のインパクトと共感とリアリティを持っていっぺんに来た。
このシーンの為に丸々一巻を使ったのか。
いなくなった人の顔を直前で初めてはっきりと描いたのも効果絶大だったし。
なので読後感は思いのほか悪くはなかった。

局部は見えない構図とよく判らない絵とボカシ。
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