流浪の月
」のレビュー

流浪の月

凪良ゆう

胸のドキドキが止まらない

ネタバレ
2021年10月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終わって、もうドキドキが止まらない。自分の気持ちが入り込みすぎて読んでいる間、かなり辛かった。実際に自身に起こったことで良いことも悪いことも共感や身につまされる事が多々出てくる。でも読むのを止める事ができない。
2人が、取り巻く人々の悪意のない善意が、あくまで真実でない固定概念に凝り固まった持論を繰り広げられていき、どんどん追い詰められていく様はもうジワジワと真綿で首を絞められていく苦しさと、真実を訴えようとしても伝わらない苛立ちと無力感が読んでいる方も伝わってくる。こうまで全く部外者がうわべだけで正義を振りかざすものがどんなに相手を追い詰める。人は自が正しいのだと疑わないし、自己満足の為、自分の身を守るためにもっともらしく大きな声をあげる。それを、これでもかと言葉につづられていく。
2人とも、そんな大人の被害者なのにこうまで苦しまないといけないのか、そんな理不尽は多分普通に世の中にあるのだ。
救いなのは、そんな中でお互いが、生きていく上で必要な相手だと認識し寄り添い、生きていこうとする姿が描かれている事だった。作中の主人公が観た映画のストーリにハッピーエンドとバッドエンドがあるというくだりがある。
この物語のバッドエンドという筋書きもありでしょうが、私はハッピーエンドで良かったです。
凪良先生の作品は最初BLで知り大好きな作家さんです。他の作品もですが、本当にこれからの作品も楽しみにしています。
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