このレビューはネタバレを含みます▼
真逆な二人。似ている二人。余利君は人気売れっ子漫画家。対して宇郷さんは実力がありながらも自分に自信がなく常に誰かの目を気にして生きているそこそこ売れっ子の漫画家。一番身近で愛する人が自分の存在を脅かす。そんな宇郷の不安や恐怖と、宇郷に振り回されながらも愛さずにいられない余利君の姿がリアルに丁寧に描かれています。特にポーカーフェイスな宇郷さんが静かに壊れていく2巻は胸が痛いですね。最後、売れっ子漫画家ではなくなった弱くてカッコ悪い宇郷をそのままに受け止める余利君の母性のような愛が温かい。そして4年の歳月の中で孤独に自分と向き合い、本当に大切なものだけを握りしめて再生しようとする宇郷さんに感動しました。素敵な作品でした。