みのりの森
」のレビュー

みのりの森

まりぱか

う~ん……

ネタバレ
2021年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ フィーリングの問題かもしれませんが、感情移入できませんでした。
理屈っぽすぎるというのか……。
この作品、テーマは何なんだろうか?
大切な人の死?
大切な人の死を乗り越えて育む愛?
設定シチュエーション、どれもよく考えられていると思うし、作品のレベルが低いとは思わないのだけれど、個人的には響きませんでした。
うるっと来るシーンはありましたし、部分的に響いたものはあるのですが、刺さっては来なかったかなぁ~。
自死から10年後の設定なら理解できる冷静さと言うか……。
皆、冷静で知性的で、セリフも良いのだけど、人一人死んでいて、それが息子で、親友で、理由も分からない自死で……となったら、もっとほとばしる感情がありそうなのだけど……。
亡くなった親友との思い出話が無いわけじゃないけれど、特別な友達だったと感じられる程ではなくて、じゃぁ、恋愛部分に感情移入できたかと言うと、寂しいだけで、あっけなく同性同士で体の関係になるだろうか?という疑問から始まり、苛烈な恋情という印象は無いので、寂しさを慰め合うのにちょうど良い相手という印象のままトキメキも胸きゅんもなく進み、実の事情が分かる辺りは、「おお!」と思ったけれど、そこまでが淡々と長いし、分かってからも、「恋情」という苛烈な感情が刺さって来る印象でもない。
人が死んでしまった物語であれば、うるっとくるシーンが無い方がおかしくて、それは「この作品が」ではなくて、人としての当然の感情であって、では、この作品は何をテーマにしているのか、何を中心に置いて、どういう事を描きたかったのかと考えると、そこがぼやけているように感じました。これはフィーリングの問題で、読み手側の心の引き出しの種類によって、ハマる人にはドカン!とくるのだろうと思いますが、残念ながら、私は冷静に読んでしまったので、理屈は分かったけれど感情は動かなかった……というのが感想になってしまいました。
読まなきゃよかったとは言わないけれど、他者に勧めるかと言われると躊躇するかな。
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