88rhapsody
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88rhapsody

ソライモネ

星と数字にまつわる音楽と愛の物語

ネタバレ
2021年10月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★プロローグ的短編+表題作。右目に傷を負った夜高とギター大好きあんじのDKストーリー+キーボード担当バンドマン・ミヤとピアノ科音大生・律樹の音楽ストーリー。

★右目の傷のせいで学校に馴染めない夜高は、保健室であんじと出会う。あんじは夜高を「来て」とライブに誘う。ライブハウスでギターを弾くあんじの姿を見た夜高の瞳は…。28歳になった夜高とあんじは、音楽も恋も楽しんでいる。バンドメンバーのミヤは居酒屋で自分のキーボードを褒める律樹と出会う。音大生の律樹の家にあったピアノの調律をした帰り道、ミヤは、腕を骨折してしまう。近々開催されるライブイベントへの出演は絶望的だが、ミヤは律樹に、「代わりにキーボードやって!」と持ち掛けるが…。

★カリスマロックスター達が27歳で亡くなっていることを意識したあんじの言葉は、幼くもあり、スターへの純粋な憧れを感じます。28歳になったあんじに対して夜高が伝える気持ちが本当に素敵です。『88』はピアノを通して関係を深めていく話ですが、「88」という数字は、鍵盤数なのですね。才能がありながらピアノを弾くことが苦しく、心が折れそうな律樹と、同じように自信を無くした過去があるミヤの姿は、大人の期待や希望で習い事をさせられている子ども達を思い起こさせます。「楽しいが大事だよ」って大人が言えたらいいですよね。

★描き下ろし含めて232ページ。夜高とあんじはもっと読みたいなと思いました。『88』はBLよりも音楽メインですが、丁寧に描かれたキャラ達の心情や言葉が響いて、不意に涙が出そうになります。

★作者様の音楽への深い愛が伝わってきて楽しいですし、オシャレでカッコいいです。
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