悪人の恋
」のレビュー

悪人の恋

荷鴣/鈴ノ助

好きも愛も囁かない純愛

ネタバレ
2021年11月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何度読んでも胸が苦しい。
ヒーロー、ヒロインの過去が凄絶過ぎて辛い。
王になるべく育ち優秀で美貌も兼ね備えたヒーローには、国と家族以外のものには興味が持てないという悩みがあった。
賢王の再来として育ち、感情も自分の意思も育てず他人の感情にも希薄に育った王女であるヒロイン。
祖国を滅ぼされ蹂躙されたヒーローは、仇をうって死ぬつもりで生きてきた。
ヒーローもヒロインも死ぬと言うことを最終目的として4年の歳月を経て出会う二人。
王女は女王となり刺客となった王子に自分を殺させるため結婚する。
結婚してからのヒーローの戸惑いと気持ちの変容は凄まじく、その変化に自身が一番驚きなが部下たちに女王を暗殺されないように付ききりで世話を焼くヒーローは可愛い。
ヒロインの元婚約者カリストは不憫(笑)。身を呈して守り愛してきたヒロインには親愛以上に思ってもらえず、あっさりヒーローに持っていかれちゃう。
毒師ルテルが15歳、17歳、19歳でちょい役であり重要な役で出てきます。
ああ、或る毒師と本作の2組のカップルが交わる番外編とか出ないかな?
恋愛小説なのに、ヒーローもヒロインも愛も囁かないなんて凄い(笑)。
二人の愛は言葉ではなく視線で交わされるんだろうな、と思いました。
重くて地雷の多い作品ですが大好きです。
二人の甘い生活がソーニャ(公式HP)番外編で読めます。
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