bitter drop ビター・ドロップ
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bitter drop ビター・ドロップ

四宮和

ほろ苦い、でも甘い青春。

ネタバレ
2021年11月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1話目の冒頭では誰の話か(主人公)わからず進み、1話目を読み終わってようやく表紙に戻る。ああ、なるほど・・・と改めて読み始めました。主人公のハルくんは双子の弟、鋼くんが先輩と一緒にいるところを見て複雑な気持ちになる。なんでも出来ると思われる自分だけど、本当は何も持っていない、というコンプレックスを抱いている。そのことを鋼と先輩(とってもピュアな相思相愛、でも付き合ってない)を見て改めて自覚させられたハル。羨ましいという感情を持ったまま、高3になります。そこで同じクラスで仲良くなったのが、元野球部の蒼輔。ハルは去年、教科書を借りた相手だと思い出し、蒼輔の真っ直ぐな性格とシンプルな言葉にどんどん惹かれていきます。女の子とはくるもの拒まずで付き合っていたハルだけど、実は自分からは行ったことはなく、このあたりの蒼輔とのやりとりはとても不器用、でも可愛い。初々しい高校生らしい感じがしてとても良い流れです。蒼輔と話したのは高2が最初だと思っていたけど、実はもっと前に出会っていて、蒼輔はずっとハルのファンだった。実はお互いに惹かれていたのね、という感じでサクッと両思いになるかと思いきや、まさかの一緒にいたい、友達でいたい、という言葉。え?ここで?!と思ってしまいました(笑)。でも、実際に高校生で、相手が男の子で、まぁ、ゆっくりとそうやって進んでいくのもいいのかなぁと思いました。
気になったのは弟の鋼くんの恋のお相手が男の先輩だったことが、男の人である意味があるのかなぁと。ハルくんがコンプレックスを自覚するのに、男性である意味がそれほど強くは感じない気がして。そもそも双子で両方が男の子に恋するなんて、このお話の折角のリアリティに必要だったかなぁと。でも想いの強さみたいなものを感じるためには必要なのかな、とも思ったり。気になりました。それと、蒼輔くんが思ったよりも鋼くんと仲良くて、なぜか私もハルくんと一緒にもやもやしました(笑)同じ部って強いなぁ。
読後感もよく、素敵な作品でした。
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