このレビューはネタバレを含みます▼
こちらおすすめされなかったら全く知らなかった作品。出会わせてくれて感謝です。
細かな線の描写がとても印象的な絵と少しダークなファンタジー世界、魔法使いと人間の本来交わらない愛情を描いた重厚なストーリー!感動しました。
ファンタジーを読んだ時厚みを感じる要素の1つとして人では生きることが出来ない圧倒的な時間の流れを感じた時ではないかと思ってます。
王が小さかった時の出会いからラベルを身体に隠し眠った50年、ラベルを育て一緒に生きるこれから、
リーが生きてきた長い長いこのお話の中に、王へのずっと変わらない愛が生き続けていることがこの作品を輝かせている。
ダークな場面も多々あるのに全話通して感じる切なさや温かさは、王とその子ラベルへのリーの視線そのものかなと思う。
ホンワカした1巻から2巻では過去の記憶として語られる王がリーにとって無二である理由が描かれています。情勢が悪くなろうと自らの命をも犠牲にして変えたかった国の構造、魔法使いが個人として尊重される世界、リーが自分の意思で自分と共に自由に生きてくれればという願い。
愛してるとか2人がキスしたりする描写さえない。
それでも2人の深い深い想いが伝わってきて本当に切ない。「私の王」 「私の魔法使い」2人の道が交わることがない現実でそう呼ぶ事できっと伝わっている。なんて苦しい、けど力強い愛なんだろう…。
そして光のような3巻。
リーが王への想いから解き放たれる瞬間。決して囚われることが悪いことではない。けどラベルという能天気で天然なこの男の子がリーの全てとなり次の長い時へと進む道となる。
王とリーが本当になりたかった関係それを見届けることが出来た事の喜び!そして期待以上の結末を描き切って下さった先生は本当に天才としか…。素晴らしかったです。
長い長い夢を見てたかのような読後感、まだまだ浸っていたい世界に興奮が冷めやらぬです。これは何回もじっくり読んで浸って欲しいです!!!