さよなら共犯者【単行本版】
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さよなら共犯者【単行本版】

あがた愛

はじめとヒロセの関係がたまらなかったです

ネタバレ
2021年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 親の敷いたレールの上を歩いていくだけという感じでしか考えられない今の生活。
はじめは自動車会社社長子息としかしか見てもらえない立場にいて、ずっとその道を歩いていくのだとばかり思っていたある日、大切な飼い猫が居なくなり探していた時、空き家?と思われるアパートの一室から猫の鳴き声がしたので、ふと覗いたら、一人の男性が部屋の隅に座っていた。
はじめの猫を抱っこしていたけど、怪我をしていた猫を治療してくれていたのを知り、お礼をいうがこの人の事が気になって仕方ない。
話しをしていくうちに、ヒロセと名乗った人は人から逃げているというが本当の事なのか?気になっていたはじめはどんどんヒロセに牽かれていき、ヒロセが居なくなるかもしれないと気がつきヒロセに自分の気持ちを告げると、ヒロセに自分と一緒に逃げようといったら、ヒロセが一緒に逃げてくれるという。
逃亡という名の旅行?に近いことをしながら逃げていく二人。
逃亡先で越えてはいけない一線を越え、ヒロセに溺れていくはじめに、ヒロセは罪の意識に苛まれて彼を親元に返そうとしたが、はじめに泣かれてしまうことでヒロセも自分がはじめに牽かれていたことを痛感する。
二人の気持ちの描写が丁寧に描かれていて、途中読んでいて涙する場面もあります。
はじめは自分が自分での意思ではない親の意思でしか見えない世界に生きていて、ヒロセは自分の正義を貫くことをしたいのに貫けない立場と世界にいて、二人ともそんな時に出会い、牽かれて恋をしてしまったことで、自分は変わりたいと思うようになった。
大人の汚い部分を見て、正すことができない立場にいたはじめは、正す為の意思を持ちたいということでヒロセという愛する人と一緒にいたいと親にも告げられる強さを持った。
色々と考えさせられるお話でした。
とても綺麗な描写で、読み易いのでオススメです。
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