深潭回廊
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深潭回廊

永井三郎

スピンオフとして読むには勿体ない

ネタバレ
2021年12月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1,2巻読了。スメルズを読んでからの方が楽しめるけど、読まなくてもギリOK。前作で、生徒に乱暴しようとして失敗し、遁走した柳田先生のスピンオフ。柳田先生と、辛い環境にある少年が出合い、お互いの傷を埋めるように惹かれあう。でも、その思いが恋なのか、単なる現実逃避なのか。スメルズは最終的に救いや前向きな諦め、爽快感が残った。このスピンオフは、とにかく暗い。二人に救いがありますように。とても苦しくて重いけど、読み応えは抜群。「兎の森」とか「薫りの継承」などが好きな人は雰囲気が合うと思う(私の感想)

〜3巻を読んで追記〜 柳田は、少年・渚を、単なる慰めの道具ではなく、ひとりの人間として見つめ始める。苦しみの最中の渚を、どうにかしたいと思い始める柳田。と同時に、過去の救われなかった自分、過去に犯した罪を見つめ直す。150ページは短い。次巻が楽しみ。

〜4巻を読んで追記〜ほぼ渚の独白の回。渚を「使ってきた」男達の話を聞き、柳田は自分もその男達と同じだと再認識する。渚は自分が「奪われない」ために「等価交換として千円」を要求してきた。もし柳田や男達が罰せられたら、「自分が奪われ続けてきた」ことになってしまう。本当に辛くて重い作品。スメルズのような、爽快さはない。2人はどこに辿り着くのか楽しみ。149ページ、短いよー。
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