みだらな猫は夜に滴る
」のレビュー

みだらな猫は夜に滴る

嶋二

盛りだくさんで勿体ない

ネタバレ
2021年12月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『みだ猫』シリーズ4作目。相変わらず互いへの愛が爆裂していて、前作で今度こそミケちゃんを心底安心させてほしいと思った願いが叶った作品だった。

ただ、ミケちゃんの地元の同級生だった穂刈が現れたり、超鈍感なミケちゃんの後輩・田中が嫁の一言で二人の関係に気付いたり、最後は天野の家族が出てきたり、1冊で纏めるには盛りだくさんで勿体ない。しかも、穂刈に至ってはなぜ出てきた! という印象が強い。

ミケちゃんは同性を好きになる自分を少し卑下しているところがあり、それは学生時代もそうだったのではと思うから、同級生の穂刈を出してくるならその辺のエピソードを見たかった。気分のいい話にはならなそうだけれど、その時代があって今の愛されているミケちゃんがいるわけで、穂刈の偏った正義感の暴走と口先だけの薄っぺらい友情を見せられただけになってしまったのが本当に勿体ない。

でも、ミケちゃんと天野が自分の気持ちや意思を周囲の人たちにきちんと伝える姿は格好良かったし、啖呵を切る姿に惚れ直す。続編が決定しているようなので、また楽しみが増えた。
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