学ランの中までさわって欲しい
」のレビュー

学ランの中までさわって欲しい

登田好美

琴線と涙腺を震わせる作品

ネタバレ
2021年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読了後、しばらく静かに世界観に浸ってしまいました。こんなに清々しい気持ちになれる作品に、久々に出会いました。ファンタジーだとわかってはいても、現実にこんな高校生がいたら、世の中少しずつ変わっていくのではないかと、期待すらしてしまいます。「弱いから強い」どこかで何度も聞いたことのあるセリフですが、澤根の口から新見を語る形容詞になると、途端に説得力を感じ、しっくりきました。卒業後、社会人になって同棲し、老後どちらかが亡くなるところまで、ずっと見ていたい2人です。それぞれの年代で壁にぶつかる事はあるでしょうが、2人でどんな風に乗り越えて成長していくのかが楽しみです。それにしても、澤根に初めて好きだと告げられた後に、ネガティブ発動してネットサーフィンする新見と、「やめろよ、見えてる」と嗜める澤根のやり取りにハマりました。ブレザー全盛期ですが、個人的には、やっぱり学ラン&セーラー服にこそ、古き良き学生らしさを感じてしまいます。//…と思っていたら、まさかまさかの続編が!!新見と澤根のその後が見られるなんて、発売を知った時は信じられず、嬉し過ぎて毎日楽しみに待ってました!!作者様ありがとうございます。お互いに新しい環境に身を置いても、新見も澤根も根本はまるで変わらないのですが、澤根の新見への愛が増し増しになっていて、まるでエスパー!新見の些細な変化も見逃さずに感じ取って行動に移し、新見の不安や焦りをキッチリ拭い去ってくれる。世界が広がっても揺らぐことのない2人ですが、無駄に傷つくことの多い世の中、出来るだけ試練が訪れないで欲しいと願うばかり。大学時代が描かれているのは最初の半年だけで、突如社会人になって同棲してるのには驚きましたが、離れ離れの2人を長々と描かれるより(恐らく最新の半年と変わらないだろうし)、思い切ってすっ飛ばして社会人になった2人を見られて良かったです。この終わり方は、まだ続きがあるのでしょうか?期待しつつ、気長に待たせていただきます。
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