路地裏のバラッド
」のレビュー

路地裏のバラッド

ハルタJACK

求め合う二人の形

ネタバレ
2022年1月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●美しい絵と短めのセリフ、モノローグでコマ送りのように進むので、ページ数の割に物語の進展はあまりなかったかな…?という印象です。でも二人の感情の動きや変化はちゃんと伝わってきました。
●傷付いて路地裏で学に「助けて」と呟いたイオリは、義父に自分と亡き母親を重ねられ、囲われ、手を上げられていた。「愛している」と言われながら自分自身のことは全く見られていなかったイオリは、学が(最初は被写体としてとはいえ)自分を真っ直ぐ求めてくれることに満たされたんじゃないだろうか。どんなことでも受け止めてあげたくなるほどに。
●学は傷付いたイオリに美的な高揚感と性的な興奮を覚えてしまうSタイプ。でも、写真の楽しさなんかすっかり忘れてしまっていた学が、イオリと出会ったことで撮る喜びを思い出していく。「お前に助けられた」っていうのはそういうことかなって思ってます。
●ファインダー越しにカメラマンと被写体が煽り煽られ昂っていく描写は元々かなりツボなんですけど、美しい絵でエロさ増しで、なお良かったです。求める学と、受け止めるイオリ。二人が前に進めそうな予感もさせてくれる、良い表情のラストでした。
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