塔の獣
」のレビュー

塔の獣

楠本弘樹

獣と共に生きる

ネタバレ
2022年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●セールで11ptになっているのにびっくりして拝読してみました。同人誌のような雰囲気の本です。4話まで短めのエピソードが紡がれて、約100Pある最終話でうまくまとめられていました。
●1話に「満月以外にも興奮状態で獣の姿に」とあったので、もっとBLに振れるのかなと思いましたがそうではなかった。(以降この設定は使われていません。)獣人であるエドガーが、ルッカと共に歩みながら自分自身を受け入れていくストーリーです。
●獣化した自分を制御できず、その間の記憶も失い、そんな自分を恐れ忌み嫌っていたエドガー。なぜかルッカに名前を呼ばれるとヒトに戻ることができる。エドガーはルッカに心を許していくが、逆にルッカは、自分がエドガーを弱くしてしまい、他に何もできることもないと感じて…
●口絵にいる眼鏡のキャラクターも(実はエドガーと関わりのある)獣人なんですけど、この人に出会ってエドガーは獣を制御する術を身に付ける。この「獣の制御」にエドガーの心が強く影響しているという展開は良かったです。
●そうなるとルッカの役割とは何だったのか…と考えますが、やはりエドガーにとっては「共に在りたい人」だったのかなと思います。ルッカと共に生きたいから、塔からも出られるし、自分の中の獣とも向き合える。母親の生まれ変わりだったりするのかな…などと妄想します。ルッカは最初から獣のエドガーも包み込んでいた。
●11ptで購入できる機会があるのですから、もっと読まれてもいいのではないかなと思った作品でした。
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