5人の王
」のレビュー

5人の王

絵歩/恵庭

分かりにくいのと細々気になる

ネタバレ
2022年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと気になっていた作品でファンタジー、長編、ということで満を辞して読みました。が、分かりにくかった…。何度も読めば現在も過去も整理できるのでしょうが、何度も読み返すのもハードだなと感じるほど細々気になるところも多いです。

物語の核となる世界観はとても素敵で星読の力や声、5人の王、色や統治する土地の格差などこれでもかというほど色々な要素が詰め込まれています。が、詰め込んだからこそもっと分かりやすく引き算をすることはできなかったでしょうか…王になって変わる名前、王を指す名前、容姿が似ていると言ってもあまりにも似過ぎていてetc…
時空を行き来する力もいつの間にか当たり前になっていて、星読や声の力よりそちらの方が随分物語にとって好都合でそれだけでも十分だったのではと思ってしまいました。

また、過酷な状況で生きてきたからこそ性 交に抵抗がないような主人公の態度が出てきますが、だったら最初の青の王とのあれは…?となってしまい、本番描写はなかったものの側近との行為が軽率すぎて心が折れました。なんだかんだと青の王の方はセージ以外とのそういった描写はないのですよね。
さらに子供を失った女性の記憶を声で改竄する…隠蔽です。少し前に『声の力が薄まる前に…』などと言っていたような気がするのですがその場凌ぎで力を使ってその後力が切れて女性が真実を思い出したら?憎しみと悲しみと共に、大切な存在を忘れてしまった自分自身に罪悪感を感じるのでは…?更なる苦しみを与えてしまうかもしれない、王がすべきことではないと思うのです。

妹が救ってくれている命ですが、果たして本当にこれで良いのか…ただ、青の王には幸せになって欲しいので最終巻が出たらまた読み直そうと思います。

絵はとても綺麗です。
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