このレビューはネタバレを含みます▼
シリーズ4作目。「生きること」をテーマにした今作。二人が出会って恋をしてというだけじゃない、作者さんの様々な思いが詰め込まれた作品だと感じました。
「氷泥のユキ」の中のゲームのキャラクターたちを生み出していく制作過程がとても面白かったので、今作の主人公がそのゲームをやりながら、キャラクターに寄り添いいろんなことを感じたり考えたりするところがとても良かったです。
キャラクターたちに心慰められながら自分自身を見つめ直し成長していく明を応援するような気持ちで読んでました。
そんなとても素敵な物語ではあるのですが、終わらせ方に関して何とも言えないモヤモヤが残りました。
テーマが明確であるので、作者さんがそれを書きたかった、どうしても入れたかったという気持ちはよくわかるのですが、自分はそれは普段意識してなくても、誰もが当たり前にわかっていることだから、ここでそれを殊更に強調しなくてもよかったのではないかなと感じました。それがなくても作者さんの思いは充分伝わっていたと思います。
結ばれてからの二人の幸せな日々がたっぷり描かれていたらもっと印象は違ったかもしれません。
二人が想い合い精一杯生き切ったと感じられた後だったらすんなり納得できたと思います。
登場人物たちの様々な生き方にも触れて盛りだくさん感はあったと思いますが、もう少し二人を中心に、二人がそこへ行き着くまでの人生を書いて欲しかったなと思いました。