桃色ヘヴン!
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桃色ヘヴン!

吉野マリ

最後までイイ❗

2010年12月28日
セールを逃し悔しい気分でやっと全話を購入。でも、続けて3回読了したほどイイ作品で、大満足😃🖤

よって全て書き換えます。

先に短編のスナップ・ビーズから……。

学者の父からいまいち能力を受け継がない円香と、珠算に翻弄された花井くんの、恋に発展するかな~?
という作品。
脇を含めいいキャラが揃っていて、短編ながら吉野先生の“明るい系”エッセンスと小粋な言葉選びがギュギュッと詰まっていて、楽しめました。

桃色ヘヴン! 本編

売れっ子モデルになってからの桃子と康太との出逢いや、幼い頃からの籐摩、莉緒との関わりを通し、蘭丸がチャラい振りをし続けてバランスを保ってきたのだろうな……と、最後まで読んで納得できました。

桃子の高校時代編、と言えそうな79話(誌面では28話)までは、コミカルさが前面に出ていて“明るい系”作品だと思っていました。

ところが蘭丸も卒業し、仕事に専念する日々を送る90話(誌面では34話)辺りから“暗い系”作品のニュアンスが漂い、一気にどシリアスへ!

最初に完読した時は、正直ギャップに戸惑いました。けれど、読み直す内に

・連載初期から、ラストまでの伏線がさりげなく散りばめられていた
・多くを占めるコミカルさは、蘭丸と桃子がそれぞれに秘める『大切な存在を守りたい』という切実でシリアスな願望の結実を活かす為に、採用された
・だから、主役二人のモテ度に極端な差があると設定し、よくある現実世界路線ラブコメとの一線を画す必要があった

ように読めてきました。

読み方次第で浅くも深くもなる、なかなかの傑作ではないかなぁ?
と、康太的 桃色ヘヴン! といえそうな番外編を読んで感じました。

登場人物が人間臭い動きをする中で、主役の二人だけはどこか人間離れした描写がある気がしまして。

桃子は内面が、蘭丸は外面がと表現は違えど、二人を天使的な存在に描こうとしたのかなとか、両者とも信じ合い護り合える唯一無二の存在に巡り会えた幸せを読者と共有できる作品を描こうとしたのかな、とも思います。

少女マンガのラブコメの枠で、長編大河にせずスッキリとまとめた、渾身の一作じゃないでしょうか。
エロさが過剰でなく、泥沼恋愛でもなく、出生や人生を悲観するナルシスでもなく、楽観主義でもない、文学的な学びの面があるとも思います。
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