来たる晴れかけの明日よ
」のレビュー

来たる晴れかけの明日よ

上田アキ

こんなふうに暮らせたら

ネタバレ
2022年1月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●ごく個人的な感想をタイトルにしましたが、瀬戸内(が舞台だそうです)の海辺で、太陽と風を浴びて、海の幸が食べられる定食屋さん、仲の良いご近所さんたち、自分のペースで心のこもった仕事をして、隣には仕事の相方兼大切な人。なんて素敵な暮らし…。なので、この二人を見ていると私は自然に笑顔になってしまいます。
●とてもゆるゆるとした雰囲気で物語は始まります。でも、二人の出会いはとてもショッキング。晴仁が「廃品」として回収を依頼されたのが、父親に捨てられた桜次郎。何年くらい前だろ…まだ10代だろうか。でも晴仁に拾われて、仕事を与えられて、一緒に過ごすことを許された桜次郎の表情はとても晴れやか。桜次郎が、晴仁に修理された機械に自分を重ねていたのが少し切ないけど。
●桜次郎の家庭事情はさらっと描かれますが、父親はちょっと異常ですね。逃げた妻(桜次郎の母)に、ずっとこだわり続けたんだろうか…。この件、作者さんとしてはもう少し描きたかったんだろうなぁ…。桜次郎が「捨てられたのは自分が壊れてたからじゃない」って気付けたのは良かったのかな。
●晴仁も、小さい頃からひとりだったのかなぁ…“じいさん”だけがそばにいた?桜次郎が一方的に晴仁に救われたんじゃなくて、晴仁も桜次郎の存在に救われてたのですね。じいさんのお墓の前で告白合戦みたいになって、そのまま家に戻って激しく抱き合う場面、熱が伝わってきてすごく良かったです。求め合うというか伝え合うというか…エロいのに、なんだか微笑ましい二人。
●晴仁の柔らかい話し方と、桜次郎の多彩な髪型も好きでした。ずっと幸せに暮らしていてほしい!
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