このレビューはネタバレを含みます▼
味覚と嗅覚が超越している主人公・ジルベール(ジル)。オドオドしつつも、それらを活かしてレストランの頂点まで駆け上がる…!が主軸のストーリーかと思いきや、全然そんなんじゃなかった。人と人との繋がりが大切に描かれていて、どの登場人物にも感情移入できちゃう。そしてその時々の感情を、不器用ながらも言葉にしてくれるジルたちは、とても愛おしいです。特にそれを象徴しているなと思うのは、ヤンが前の店を辞める原因となったヤンの元同僚が、ジルたちのお店にまで押しかけて来てくる話。嫌がるヤンに対して「謝りたい」と食い下がらない元同僚に、ピシャッと言い放ったジルはとても格好良かった。普段、物おじしてオドオドしていて、どこか頼りなくても、その分、仲間を想う心は強く持っているジル。そんなジルが主人公だからこそ、ストーリーから目が離せないし、続きが気になってしまう。物語が丁寧に描かれているところ、登場人物同士の(天然)ボケとツッコミのテンポが良いところも大好きです。