棺にさよならの花束を
」のレビュー

棺にさよならの花束を

rosca

珍しい設定です。

ネタバレ
2022年1月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ テーマの割に重くなりすぎません。人生を華やかな葬式で締めくくりたい(満足したから俺これから死ぬんだ)、と言う変わった男が葬儀屋に現れるところから話が始まります。
意図的にか、死を求めるようになる経緯が軽く触れられている程度で、その時に感じた葛藤については触れられていません。重く苦しくなりすぎるからかもしれませんが。よくもわるくも、それ故に、テーマの割には重くなりすぎず、自死を求める価値観もあるのだね、と考え込みすぎず(悩みすぎず)終えることができます。いっそ読了感は爽やかなものがあります。
好みの問題で★4.5です。
〈追記〉初読では、設定の斬新さ(死にたいのに明るい、というチグハグ感)に引きずられ、お話そのままを受け止めることができていませんでした。2周目は、死にたいのは死(がもたらす喪失)が怖いからこそ。本当は楽しく生きたい、という本人の強がりに目がいきました。感情移入すると途端に身近なお話になります。葬儀屋さんの言葉一つ一つが心に染みます。お話を通して問題提起されてる様に思います。言葉が優しいので、どなたかに向けて描かれたお話なのかな、と感じました。良かったです。
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