7SEEDS
」のレビュー

7SEEDS

田村由美

泣けたけど無料分でやめればよかった

ネタバレ
2022年2月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は謎に引き込まれ、途中途中泣いてしまうようなシーンもありました。ですが最終的に感じたのは虚無感でした。無料で十巻まで読み、面白い!と思って一万円以上使って番外編まで購入した事を後悔しています。作中から見える作者の考え方が無理。
大量殺戮をしていた花の父親は尊敬する親扱いのままって。安居たちを酷い目に合わせて娘がいけないのにお前たちは行けるからずるいし憎い、みたいな事まで言っておきながら結局娘を彼氏付きで未来に送る。人間を撹拌してぐちゃぐちゃにしてきた男が肯定されているかのような奇妙な気持ち悪さにぞっとします。罪の意識に苛まれている描写もないのに、立派な人格者みたいに言われても困る。
しかも多分娘を彼氏付きで未来に送る事が出来たのも施設組の犠牲(という仕事の成果)があってこそではないかと思うとやりきれない。
それでいてコネで何が悪いのと上から目線で言うキャラもいればそんな安居たちをこれまた上から目線で温室育ち扱いするキャラもいる(このキャラも結局コネ枠)何故逃げなかったんだと無茶言うキャラもいる。
しかもこれが正義だ、正しいんだと言わんばかりの描写です。大ゴマでキメ顔されて戸惑います。私は彼らの事を温室育ちだとはとてもじゃないけど思えません。視力が落ちただけでもミンチにされるような場所だというのに、誰もわかろうとか理解しようとか寄り添おうとかしません。作者は温室育ちの意味わかってるんでしょうか…?
安居は確かに怒りに任せて罪を犯しましたが、何人もの命を助けてくれたのも事実。ですが登場人物揃いも揃って、単一思考なのかと疑うくらい何度も何度も安居の罪ばかり責め立てます。自分たちも罪を犯してきたのに(殺人や恐喝やセクハラや暴力、人体実験など)その罪は棚上げして安居酷いばかり。他人を責めると言うのならせめて彼ら彼女らも自分の罪と向き合うべきだと思う。共通の敵(安居)を憎む事で一致団結してる感じで、本当に気持ち悪いなと思います。学園モノのイジメの構図と似ていて、拒否感を感じてしまう。
最初は嵐と花の再会を楽しみにしていたけど花は精神的に浮気していたし、嵐は対等な恋人というより花を崇める下僕みたいな精神が垣間見えて途中から苦手になってしまいました。最初の嵐は良かったです。
冬メンバー、夏A選抜、縦になる船の話は面白かったのでそこはオススメ出来ます。茂のお墓のシーンやって欲しかったな。
いいねしたユーザ26人
レビューをシェアしよう!